家造り

仮契約とは。キャンセルは出来るのか。なぜ、勧めてくるのか。

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この記事を書いた人
キッパ

情シス(基盤運用)
元大手住宅営業マン。
目標はプロジェクトマネージャー。
27歳でSESに完全未経験で転職。
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仮契約—-これは一体何なのでしょう。

〇〇工務店やセキスイ〇〇やタ〇ホームなど、仮契約と調べると様々な事が出てきますね。一般の方が書く記事には誤りもあります。

元住宅営業の私が裏側まで解説していきます。

仮契約とは

仮契約とは名前に「」とついているので、契約ではないと思われがちですが、しっかりとした契約行為です。

流れとしては、仮契約→請負契約(本契約)+(土地が無い方は)土地契約という流れです。

様々な住宅メーカーに仮契約制度がありますが、住宅メーカーの仮契約とは、

土地を持っていないけど契約したい」

まだ、相続や金銭面などの問題は残っているが契約したい

プラン次第では本契約して良い

といった「家は気に入って契約はしたいのだけど、解決すべきネックがある」方向けの契約です。

仮契約と請負契約(本契約)の違い

メーカーによって、本契約の定義は微妙に異なりますが、以下のようなイメージをしてください。

・間取りなどをすべて決め、金額を確定し、本契約をし、このメーカーで建築を進める。
・このメーカーで建築を決めたから、本契約をし、打ち合わせなどを開始する。

本契約は解約は出来るのですが、かなり打ち合わせが進み、調査等で様々な業者が動くため、解約金も多額になりやすいです。基本的に後戻りは出来ません

本契約をせずとも、プランなどを詳細に打ち合わせするメーカーもありますが、基本的には、「申込金」を払って、仮契約をしてくれたら、プラン等を提示するというメーカーが多いです。

契約も何もない状態だと、お客様が他のメーカーに心変わりした場合、メーカー側はタダ働きになってしまいますからね。

仮契約は、本契約までの準備の段階。本契約をするために、課題となっている事を解決し、本契約に進むというイメージ。主に土地が無いため。仮契約するケースが多いです。

では、「すべてを固めて、本契約をしたらいいのでは。仮契約なんて必要ないじゃん

と思うかもしれません。

なぜ、仮契約というシステムが存在しているのでしょうか。

なぜ、仮契約が必要なのか

これには仮契約にはメーカー側にもお客様側にもメリットがあるからなのです。

まずメーカー側は、よりお客様の幅が広がります

どういう事かと言うと、1つの例として、土地が無いお客様がいたとします。

請負契約は土地が無いと締結出来ません。これでは、土地を持っている人しかすぐに契約ができません。

今これを読んでいるあなたは土地を持っていますか?

恐らく持っていないと思います。実際、私の経験上、約8割のお客様は土地をもっておらず、土地からの家造りとなります。

そして、土地探しは営業担当のスキルにもよりますが、時間がかかる事が多いです。

つまり、建てるメーカーは決まっているのに、

土地が無いと契約できない=住宅メーカーは土地が無いお客様は顧客に出来ないという事。

それを減らすために仮契約をして、メーカーを決めてもらい、土地探し中も他のメーカーに流れるのを防ぎたいと言う事です。

要はネックの解決中もそのお客様を確保できるのです。仮契約をしてくれたら、土地探しや、図面を書くこともしてあげるよという事にもなるわけです。

もし仮契約制度がないと、実はお客様にも不利で、土地が決まらない間は、家の坪単価が上がっていく可能性があります。一般的には、ほとんどのメーカーは月毎に締め日があり、売上の状況などを考慮し、次の月は値上げに踏み切るか、現状維持か、あまりないですが、値下げするかを決めています。

つまり、ある1つのメーカーを凄く気に入り、土地が無いために、契約出来ず、土地も中々決まらず、ずるずると月日だけが経ってしまい、その間に家の値段が上がってしまう、、、

これは、損ですよね。

ほとんどのメーカーは仮契約をすることでその契約時の単価に固定できます

つまり、このネック(上の例では土地が無いこと)を解決している間に、単価上昇を抑えられるわけですから、仮契約出来る事はお客様にとってもメリットなのです。

土地もあって特にネックもないお客様は最初から本契約を締結します。これを業界内では、「一発」といったりします。(一発本契約)

でも、仮契約にも契約金(手付金)が必要だよね?

はい、契約ですから。メーカーによって差はありますが、10万〜100万程の契約金があります。ローコストメーカー程安い印象があります。

メーカーによっては、申込金と呼んだりします。仮契約をした場合は、本契約時に振り替えられ、本契約時は契約金を支払う必要がなくなる場合が多いです。

この契約金は、建物の代金に充当されるメーカーがほとんどです。

解約は出来るのか。

出来ます。出来ないメーカーはないです。本契約後もできます(解約金は高額になりやすいが)

あらゆる契約行為は取り消すことが出来ますから、もし出来ないですと言われた場合は、それはちょっとやばい会社かと思います。契約書にももちろんしっかり明記してあります。

仮契約を解約したら契約金は返ってこないのか

これはメーカーによって異なるので、しっかりと確認しておきましょう。こちらも必ず契約書に明記してあります。

全額返金されるメーカーが多いとは思いますが、何割かの返金になるなど対応は異なるかと思います。(私がいたメーカーは全額返金でした)

契約書はしっかりと読む

仮契約といっても、署名も捺印も契約金も発生する契約行為です。

金額や、入金方法、入金期日、解約の時についてなど大事なことはしっかり確認してください。

どうせ、仮契約だからと

安易に仮契約するのは、思わぬトラブルになることがあります。

これは、お客様にも、営業に言えることです。

営業担当にメリットはあるのか

営業担当が仮契約を迫ってきて、しつこい、、、

そんな経験ありませんか?

これもメーカーによって変わりますが、基本的に、仮契約をしただけでは、営業に特にメリットはありません。給与が増えることも特にありません。本契約時に、営業の成績となります。

では、なぜガツガツ来るのかというと、本契約に繋げられるお客様を1組でも多く、確保しておきたいからです。

優秀な営業マン程、常に来月以降の成績を見据えています。営業は今月の契約はもちろん、来月以降に本契約してくれるお客様を抱えていないと、不安になるのです。そういう意味でも、後は土地を決めるだけとなる仮契約客を多く抱えることは非常に意味があります。

また、仮契約は万が一解約になっても、ダメージがありません。一方、本契約後は、ついた成績やインセンティブが全て回収されてしまいますから、ダメージが多くなります。ですので、

「解約してもいいですから」とハードルを下げて、仮契約をすごい数取る、打数で勝負する営業もいます。私は解約の手続きが好きではないので、この手法はおすすめしません。

しっかり、メーカーを決めてもらい、仮契約を締結する。これが、営業にも、お客様にとってもストレスがありません。

つまり、営業も「仮契約」を使いこなし、ネックをすべて解決した万全な状態で「本契約」を締結する事が営業マンにとっても、重要な要素となります。

営業にとって、解約のダメージはあまりにも大きいですからね。

裏話

住宅営業にとって、土地を持っていないお客様と持っているお客様どちらが楽でしょうか。

答えは土地を持っているお客様です。裏では「土地有り」と呼んだりします。

まあ、当然ですよね、土地を探す労力が無いわけですから。土地有りのお客様だけを相手にする営業もいるくらいです。

しかし、土地有りのお客様は色々なメーカーの営業がこぞってイベントや商談などアプローチをかけるため、競合しやすく、契約にたどり着くのが意外と難しいです。

つまり、土地を持っていないお客様や金銭面で営業に相手にされていないお客様などから、契約を取れるようになることが必要不可欠となるのです。

まとめ

仮契約はかならずなくてはならないという制度ではなく、メーカー側とお客様側にもメリットがあるものです。

お客様にとって、仮契約をしたからといって損をするという事は無く、むしろ単価やその月のキャンペーンを固定できるので、メリットしかありません。

土地が無い方や、まだ解決すべき問題がある方でも、
ここだ!というメーカーを決めたら、仮契約して構いません

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